害虫辞典 日本昆虫学会会名誉会長 安富和男氏監修

シラミとノミ

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系統的に全く違うシラミ(louse)とノミ(flea)

小さな吸血昆虫のシラミとノミは系統的に全く違うグループの昆虫です。シラミはコナチャタテをルーツとする原始的な昆虫で、幼虫は3齢を経過し、蛹の時期はありません。一方ノミは蛹のステージを経て成虫になる完全変態の昆虫です。ノミの先祖はシリアゲムシ(長翅目・チョウシモク)と推定されています。

シラミ類 - 各種の哺乳類にそれぞれ特有の種類がいる!

広義のシラミには吸血性のシラミ(Anoplura)と鳥獣の羽毛や皮膚を食害するハジラミ(Mallophaga)とがあります。コロモジラミ(メス)シラミ目の昆虫はヒトジラミ科、ケジラミ科、ケモノジラミ科、ケモノヒメジラミ科、ケモノホソジラミ科、トゲジラミ科の6科に分類され、世界に約500種、日本に約40種が生息しています。

体長は0.5mmから6mm、長楕円形、扁平で、白色、淡黄褐色、あるいは暗褐色、翅は完全に退化し、口器は吸収口式です。頭部は小さく、複眼の退化した
種類もあります。単眼を欠き、触角は3-5節、発達した脚の先には1本の爪をもっているのが共通点です。

シラミは幼虫、成虫の全期間を通じて血液に依存し、寄主特異性が強くて、各種の哺乳類にそれぞれ特有の種類がいます。変わったシラミとしては海獣に外部寄生するトゲジラミ科のセイウチジラミとアザラシジラミがあります。ハジラミは8科に分類され、日本から約150種が記録されています。口器は咀嚼口式、最大種は体長11mmを超えるハヤブサハジラミです。

ノミ類 - 近年では人がネコノミに吸血される事例も!

ノミはノミ目(隠翅目、Siphonaptera)に属する昆虫で世界から約1,300種、日本から80種が記録されています。ヒトノミ(メス)成虫は雌雄とも哺乳類や鳥類から吸血しますが、シラミと違って寄主の種特異性があまり厳密ではありません。

例えば、人の血を吸うのはヒトノミだけに限らずネコノミ、イヌノミやネズミノミが吸血することも多く、逆にヒトノミがネコやイヌなどにもたかります。近年、人がネコノミに吸血される事例が増えてきたようです。

シラミの場合は幼虫の体形が成虫に似ていますが、ノミの幼虫は親と全く違う姿の細長いウジ状で食べ物も血液ではありません。幼虫は人や動物の皮膚の脱落物や親の糞などを食べて成長します。
ノミの語源は「跳び」から転化したものです。英名のfleaもやはり跳ぶことを意味します。

先祖のもっていた翅の筋肉が背面から側面に位置を変え「側孤(そっこ)」という器官になりました。側孤にはレリジンと呼ばれる弾性タンパク質が含まれてお
り、体長の約200倍もの強い跳躍力のもとになるのです。ネズミノミの中胸部には翅の痕跡があるといいます。
ノミの成虫は褐色で縦に扁平な体形をしており、寄主の毛の間や衣類に潜ったり移動するのに都合よくなっています。

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