害虫辞典 日本昆虫学会会名誉会長 安富和男氏監修

毛虫

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皮膚炎を起こす毛虫と蛾の仲間

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かぶれる毛虫、刺す毛虫は全ての毛虫の中で約2%
日本に住む約4,700種の鱗翅類で、人の皮膚に被害を与えるものは約50種です。チャドクガ成虫そのうち、成虫が皮膚炎を起こすのはドクガ科のドクガ属(Euproctis)だけに限られています。ドクガ類は蛹化のとき、繭の内側に終齢幼虫の毒針毛を付着させており、成虫が羽化する際にその毒針毛を体につけて飛び出すために、成虫に触れると皮膚炎が起こります。鱗粉に毒はありません。
毛虫の体に密生している長い毛は有毒だと思われがちですが、大部分の長毛は自分の体を保護するために備えたもので、刺されることはありません。白い長毛の密生したアメリカシロヒトリの幼虫が全く無毒なのはその好例です。かぶれる毛虫、刺す毛虫は全ての毛虫の中で約2%に過ぎないといわれています。毛虫を不必要に怖がらず、有毒な毛虫を憶えておくことが大切です。

毒棘の他にも毒針毛まで備えている毛虫も
要注意の有毒な毛虫はドクガ科、カレハガ科、イラガ科、マダラガ科、ヒトリガ科に属してドクガの幼虫いますが、ドクガ科やカレハガ科などの中にも無毒な種類があります。また、ヤママユガ科、ヤガ科やタテハチョウ科の一部に軽い皮膚の症状を起こす毛虫が知られてます。毒毛<ドクモウ>は「毒針毛<ドクシンモウ>型」と「毒棘<ドクトゲ>型」に大別されます。毒針毛をもつ毛虫はドクガ科のドクガ、チャドクガ、モンシロドクガ(別名クワノキンケムシ)、キドクガ、フタホシドクガ、ゴマフリドクガなどや、カレハガ科のマツカレハ、ツガカレハ、クヌギカレハ、リンゴカレハなどであり、ドクガ類の毒針毛は非常に微細です。
毒棘をもつ毛虫はイラガ科のイラガ、アオイラガ、クロシタアオイラガテングイラガ、ナシイラガ、ヒメクロイラガ、アカイラガなどや、マダラガ科のタケノホソクロバ、ウメスカシクロバ、リンゴハマキクロバ、ヒトリガ科のヤネホソバなどです。更に、イラガ科のアオイラガ、クロシタアオイラガとヒメクロイラガの終齢幼虫は毒棘の他に毒針毛まで備えています。また、軽い皮膚炎を起こすヤママユガ科のクスサン、ヒマサン、オオミズアオやタテハチョウ科のルリタテハ、キベリタテハも毒棘型です。
ドクガ類による皮膚炎は痒さ、イラガ類による皮膚炎は痛さが特徴です。

万一ふれてしまった場合はすぐに流水で洗いましょう

毒の正体はいずれも蛋白性のもので、ドクガ類の毒成分としてはプロテアーゼ、エステラーゼ、キニノゲナーゼ、ホスホリパーゼA2、ヒスタミン、イラガ類の毒成分としてはヒスタミンと2種の蛋白性発痛物質が検出されています。
治療には坑ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモン剤の外用、あるいは坑ヒスタミン剤の内服が有効です。

ドクガ類の成虫や毛虫にふれた場合はすぐに流水で洗うようにすると症状がひどくならずにすみます。擦ったり、掻いたりすれば毒針毛が皮膚に刺さって症状を重くします。

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