害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修
害虫辞典
アミメアリPristomyrmex pungens Mayr
アミメアリはフタフシアリ亜科に属し、日本全土に分布するアリです。亜科目のフタフシは胸と腹の間に腹柄節<ふ
くへいせつ>が2節あることを意味し、ルーペで見るとはっきりわかります。
働きアリは体長3-3.5mm、体は暗褐色で、頭と胸に網目のような皺<しわ>をもつのが和名のいわれです。
アリの仲間は女王を中心にした社会生活を営んでいますが、アミメアリには女王アリがいません。その代わり、働きアリが交代で少しずつ卵を産んで繁殖しま
す。日本のアリで女王がいないのは、アミメアリのほかには沖縄にいるトゲハリオオアリだけです。
また、アミメアリは普通のアリと違って決まった場所にきちんとした巣を作りません。石や倒木の下、落葉の下などを仮の巣として生活し、近くに食べ物が少なくなれば引越しをおこないます。移動の時には働きアリが幼虫や蛹をくわえて運びます。