害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修
害虫辞典
オナガキバチXeris spectrum Linnaeus
オナガキバチはキバチ科Siricidaeキバチ亜科に属するハチで、北海道、本州、四国に分布し、幼虫
はモミの材部を食べて育ちます。
成虫は体長14‐25mm、体は黒色で後頭<こうとう>の両側、前胸背<ぜんきょうはい>の両側に黄斑を持っています。
キバチ類のメス成虫は幼虫のために木材腐朽菌を使う智恵者です。体内にたくわえていた木材腐朽菌の胞子を産卵の時に卵とともに材を植えつけます。ふ化した
幼虫は、菌の繁殖によって軟くなった材を食べて育つしくみです。菌にとっても分布をひろげる利益が大きく、キバチと菌は共生関係にあります。しかし、人間側から見れば困ったことです。