害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修
害虫辞典
クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa SERVILLE)
クロゴキブリは中国南部の原産で、江戸時代、大阪府の堺に船
荷とともに上陸しました。一般住宅に最も普通なゴキブリで、ホテルや地下食品街にも繁殖しています。成虫の体長は30~40ミリ、光沢の強い黒褐色で、雌雄とも腹端より長い羽をもっています。若齢幼虫は黒色で背面に白い2本の横斑をもち、成長するにつれて白斑は消え赤褐色に変わります。
クロゴキブリは休眠性を持ち、2齢幼虫と終齢幼虫、さらに卵でも越冬します。生活環はヤマトゴキブリと同様、2年に1世代です。成虫は羽化後数日で交尾を始め、10日後には産卵します。卵鞘中の卵数は20~28個、一生に20個の卵鞘を産みます。産まれた卵鞘からは30~50日後に1齢幼虫がふ化し、脱皮回数は8~10回です。
以前、クロゴキブリは関東以南に分布するゴキブリでしたが、暖房がよくなった現在では東北地方から北海道にまで分布しています。