害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修
害虫辞典
ドクガEuproctis subflava (BREMER)
成虫の蛾は前翅の長さ約2cm、黄色で中央部に"く"の字形の黒い帯があります。北海道、本州、四国、
九州に分布し、成虫の出現期は年1回の6-7月です。
幼虫(毛虫)は黒地に橙赤色の斑紋があり、2齢以降は背面に毒針毛群生部をもち、体長4cmに成長した終齢幼虫は23対の毒針毛群生部に600万本もの毒針毛が生えています。毒針毛は肉眼で見えないほど微細で、長さが僅か0.063~0.137mmです。
幼虫の毒針毛は繭の内側に残され、羽化した成虫はこれを体につけます。メスは食樹の葉裏に500個の卵を卵塊として産み、腹端の毒針毛で覆います。2週間
後にふ化した1齢幼虫はこの毒針毛を体に付着させるので一生を通じて毒針毛をもつことになるわけです。
幼虫は多食性で、サクラ、ウメ、バラなど百数10種の庭木や街路樹の葉を食べて集団でくらし、越冬後に成熟してから分散します。