害虫大辞典 日本昆虫学会名誉会長 安富和男氏 監修
害虫辞典


動物性乾燥食品や衣類を
加害する昆虫
動物性の繊維にふくまれている栄養源で成長する甲虫類 今回は貯蔵食品、とくに動物性乾燥食品を加害する甲虫のカツオブシムシ類、ヒ ![]() カツオブシムシ科(Dermestidae)に属する甲虫のうち、比較的体形の大きいトビカツオブシムシとハラジロカツオブシムシは主に乾魚、乾肉などの 乾燥食品を加害します。カツオブシムシの和名は鰹節を食害することに因んだものです。やや小型のヒメマルカツオブシムシとヒメカツオブシムシは乾燥食品も 食べますが、繊維害虫としての比重が大きく、英名ではcarpet beetle(カーペットの甲虫)と呼ばれています。 ![]() 産卵がすむと突然、走行性が逆転、明るい戸外へ飛び立つ ヒメマルカツオブシムシとカツオブシムシの加害ステージはもっぱら幼虫期です。 ![]() ![]() |
化
学繊維の被害例の多くは糖分などの食べこぼしが原因 ナイロンなどの化学繊維もときにカツオブシムシやイガから加害されますが、化学繊維は ![]() また、木綿の繊維にはシロアリから食害されることがあります。それは、シロアリが共生微生物の酵素でセルロース(繊維素)を分解できて、木綿が栄養になる からです。 乾燥食品の害虫にはシミの仲間(ヤマトシミ、セイヨウシミ)やチャタテムシ類があります。屋内にすむチャタテムシ類は湿度の高い環境で大繁殖し、とくに鰹 節の和名をもつカツブシチャタテは鰹節や煮干しなどを加害します。カマキリタマゴカツオブシムシは野外にすみ、幼虫はカマキリの卵嚢中に潜って卵を食べて 育ち、卵を食べつくすこともあります。 |