害虫辞典 日本昆虫学会会名誉会長 安富和男氏監修

動物性乾燥食品や衣類を加害する昆虫の仲間

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動物性の繊維にふくまれている栄養源で成長する甲虫類

トビカツオブシムシの成虫と幼虫

今回は貯蔵食品、とくに動物性乾燥食品を加害する甲虫のカツオブシムシ類、ヒョウホンムシ類をとりあげます。これらの甲虫は食品だけでなく、羊毛や毛皮の製品、絹製品、動物標本の害虫でもあります。また、鱗翅目<りんしもく>ヒロズコガ科のイガ(衣蛾)類は毛織物・絹織物を食害する衣類害虫です。動物性の繊維にふくまれている硬タンパクのケラチンを栄養源として幼虫が育ちます。カツオブシムシ科(Dermestidae)に属する甲虫のうち、比較的体形の大きいトビカツオブシムシとハラジロカツオブシムシは主に乾魚、乾肉などの乾燥食品を加害します。カツオブシムシの和名は鰹節を食害することに因んだものです。やや小型のヒメマルカツオブシムシとヒメカツオブシムシは乾燥食品も食べますが、繊維害虫としての比重が大きく、英名ではcarpet beetle(カーペットの甲虫)と呼ばれています。

 

産卵がすむと突然、走行性が逆転、明るい戸外へ飛び立つ

ニセセマルヒョウホンムシの成虫
ヒメマルカツオブシムシとカツオブシムシの加害ステージはもっぱら幼虫期です。初夏の頃、卵からふ化した幼虫は屋内の暗い所で育って、冬を越した幼虫は翌春蛹化し、5月頃成虫が羽化します。羽化した成虫は約10日間、室内の暗所で交尾、産卵を終えて産卵がすむと、突然、走行性が負から正へと逆転します。明るい戸外へ飛び立った成虫は花壇に咲いているマーガレットなどの白い花に集まり、花粉を食べ蜜を吸って一生を終わります。衣類や動物性乾燥食品を加害した犯人の成虫が花に来て蜜を吸うことはあまり知られていません。花に飛来した成虫を駆除しても産卵がすんだあとです。卵を産み終えてから野外へ出て栄養物をとるのは無意味な行動と思われますが、大昔に繰り返していたくらしの名残でしょう。摂食により卵巣が成熟して卵を産むのが本来の姿だったはずです。人家に入り込んで害虫化しましたが、まだ完全な屋内の虫になりきっていません。

 

化学繊維の被害例の多くは糖分などの食べこぼしが原因

イガの幼虫と巣
ナイロンなどの化学繊維もときにカツオブシムシやイガから加害されますが、化学繊維は栄養物を含んでいないのでその被害例の多くは牛乳、脂肪、糖分などの食べこぼしに由来します。ゴキブリが衣類を食害するという事例も汚染物の付着によるものです。また、木綿の繊維にはシロアリから食害されることがあります。それは、シロアリが共生微生物の酵素でセルロース(繊維素)を分解できて、木綿が栄養になるからです。乾燥食品の害虫にはシミの仲間(ヤマトシミ、セイヨウシミ)やチャタテムシ類があります。屋内にすむチャタテムシ類は湿度の高い環境で大繁殖し、とくに鰹節の和名をもつカツブシチャタテは鰹節や煮干しなどを加害します。カマキリタマゴカツオブシムシは野外にすみ、幼虫はカマキリの卵嚢中に潜って卵を食べて育ち、卵を食べつくすこともあります。

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